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6月12日 アイリッシュハープ

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大聖堂前の広場にはテーブルと椅子が並んで、大勢の観光客がスナックを食べたり飲んだりしている。その前で黒人の青年が一人、琵琶を大きくしたような楽器で何か音楽を奏でている。宿が決まると一安心、私もそばのカフェでコーラを買って、椅子に腰を下ろす。奏でられている音楽は聞き覚えのあるアイリッシュハープのメロディラインだ。隣りに座っている男にあの音楽は何かと訊ねると、アルジェリアの音楽だという。黒人と楽器はアルジェリアかも知れないが音楽は違う。アイリッシュハープのメロディラインだね、と言うとうなずいている。

私の娘がアイリッシュハープを習っていて、ハープのCDを二枚借りたことがある。明るくて軽やかで、でもどこかもの悲しいメロディに聴き惚れていた。黒人青年もサービスで演奏しているのだろう。まるでハープのように軽やかに響いている。相当の腕前だ。音楽を聴きながら目をつぶる。

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音楽に国境はないと言う。アルジェリア人がアイルランド音楽を奏でるのをイギリスで日本人が聞き惚れている。国境はないだろう。でもそれぞれの地域性、文化はある。その違いがあるから面白いのだ。

人間だって国際人なるものがいたら、つまらない人間だろう。それぞれ文化の違いを背負っているから面白いのだ。歳をとればとるほど文化の違いに敏感になる。自分の文化の中で長く生きてくれば、否応なしに文化に色づけられる。だから違う文化の中を歩くのが魅力的になる。違う人々と話すことが面白くなる。

海外旅行を若いときにやっていればよかった、という考えがある。若者は冒険をやっているのだ。それはそれで大いに意味があることだ。でももう私は冒険に魅力を感じない。世界を、自分を、より深く知ることの方が面白い。よく知るためには修練が必要だ。これは自然愛好家なら分かることだが、花の名前、鳥の名前が分かれば一層自然が見えてくる。そんな名前を知らなければ見えないのだ。こちらの見る能力に応じて世界が開けてくる。

もし私がもっと日本文化を知り、もっとその中で深く生きるよき日本人だったら、そしてイギリスをよく知りかつ生きるよきイギリス人に出会ったら、もっと豊かな会話が出来ただろう。そこまでいかなくても、結構楽しく会話してきている。それは私のような凡人にとっては、歳をとって開けてきた世界だ。若者よりは体力は落ちてきているだろう。でも自然や文化、人間への感性は鋭くなってきている。だから歳をとると一層旅が面白くなる。同年輩の人とも若者達とも楽しく話ができる。

旅先で日本人の若者と話すとき、自分が全く同じ年齢で話しているような気になる。若者達にとっても同じようだ。こちらの方が長く生きてきているだけ。でもこちらには経験豊富という個性があるから、何でも話し合える。仕事のこと、恋愛のこと。まるで人生相談に乗っているようなときもある。旅先では普段の属性がみんな取れてしまうから、歳をとっていることは、そんな顔立ちをしていると言うだけのこと。そういう個性を持っていること。だから基本的に対等なのだ。一人旅にはそう言う楽しみがある。旅先でしかあり得ないことだけど。

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