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6月12日 バースの町で

ジェイン・オースチン

 街の中にジェイン・オースチンが三年ほど住んでいた家があり、今は記念館になっている、と案内書に書いてあった。もう閉まっているだろうが建物の写真だけでもと思い地図を見比べて探す。あった。普通のアパートの一角の一階と二階が記念館らしい。ショウウィンドウには現代版の「自負と偏見」とエッセイ集が並んでいる。何の変哲もない建物だが、オースチン好きの家内のために写真だけ撮る。

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 街の一角で、顔に殴られたような傷をいくつも付けた女が、そばの若い男にしきりに話しかけている。男は一見冷酷な感じだ。人生の深刻な一面を目の当たりにする感じがして目をそらす。旅人は深刻なものとは無縁の軽い存在なのだ。

 街並みは美しいが観光客であふれている。街の中を二十メートル幅ほどのエイヴォン川がゆったり流れている。きれいな石の橋が架かっていて、対岸の歩道にはベンチが並び、休憩している人もいる。私も橋を渡って川岸に下り、ベンチに腰掛けた。川をぼんやり眺めていると町の喧噪を忘れる。遊覧船がやってきた。デッキの上に椅子が並び客があふれ、その前でバンドが軽音楽を演奏している。大聖堂はすぐ目の前、ほかの教会の尖塔も見える。陽が少し傾いて、陰影がくっきりしてきて、周囲の丘の緑が色濃くなっている。

 目の前を中国人や東南アジア人の若者の二十人ほどの一団が談笑しながら通ってゆく。リーダーらしき人もいるようだから語学学校の生徒かも知れない。ロンドンでもここでも中国人の若者が多い。本土だけでも日本の十倍の人間がいるのだから、急速に豊かになりつつある階層の子どもたちが、大挙して外国に出ているのだろう。お金持ちの一人っ子、国家を昔から信用しない国民だから、チャンスがあれば子どもを外国に出すのだろう。

教会の鐘

 八時を過ぎたので、まだ陽がさしているが宿に戻ることにする。いつも夕方七時頃には眠くなり、ベットで寝てしまう。そして二時頃に目が覚めてしばらく日記を書き、それからまた一眠りと言った生活をしているので、陽が暮れる前に眠くなるのだ。B&Bに近づいたとき突然鐘が鳴り出した。すぐ近く、B&Bの裏手の方だ。行ってみると古い教会がある。オールセイント教会と看板に書いてある。高い鐘楼の前に行くと扉が半開きになっている。中では五,六人の男女がそれぞれ垂れ下がったひもを引いている。力がいるようだ。上で揺れている鐘が見える。

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 教会の敷地内の墓地の芝生に腰掛けて鐘の音に聞き入る。鐘がわずかのずれでほぼ同時に鳴っているので、メロディがあるようでいてよく聞き取れない。鐘が鳴りっぱなしなのだ。昔からこのあたりの丘に鐘が鳴り響いて、時を告げたのだろう。

10分以上たつのに鳴りやまない。あの人達は疲れないのだろうか。私の方が疲れたので宿に戻る。

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