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イギリス徒歩旅行 フットパスを歩くー10 簡単な自己紹介

荷物は出来るだけ少なくして

 毎日背負って歩くのだから荷物は出来るだけ軽くて少ない方がいい。湖水地方を二日歩いてロンドンに戻ってくることになったのは、ヴァカンスシーズンに入って急に観光客が増えたこともあるが、さすがに疲れてしまって、もう一日重い荷を背負って歩く気力を失ったからだった。その前日の峠越えでは、平地を歩いているときでさえ他のウォーカー達にどんどん追い越されていた。ケジックの宿に二泊し、そのままロンドンに戻ったのはやむを得ないことだった。

イギリス人のおしゃれと食べ物

 私はおしゃれなイギリス人に一人も会わなかったような気がする。全く実質的な国民で、その点私にはとても居心地がよかった。私がおしゃれだったとしても、毎日重い荷を背負って歩いているわけだから、相当くたびれた姿をしていた。おしゃれどころではない。食べ物については高級レストランなどに入らなかったから、とやかく言う資格はない。有名なフィッシュアンドチップス(魚のフリッターとポテトチップ)はかなりの量でおいしかった。キューガーデンで注文したスコーンはボサボサで、リスの餌と化した。イングリッシュブレックファーストは初めはおいしかった。でも毎日では嫌になる。どんなものを食べていたか、日記の中で明らかになるはずだ。

簡単な自己紹介

 さてここで私自身についても紹介しておかなければならない。定年でもないのに三週間も留守にしている。おまけに格安航空券が新型肺炎のせいで安くなっているから旅に出よう、なんて考えているところを見ると豊かではないようだ。掛川(静岡県)だの小平(東京都)だのという地名も出てくる。四国遍路にも行っている。何者だ?

 私はちょっと変わった人生行路を歩いているかも知れない。でもごく普通の人間であることは多くの友達が認めてくれるだろう。普結婚し、仕事をし、子供達を育てて世に送り出し、今は母親の介護を行っている。

 仕事は竹細工、毎月二週間ずつ静岡県掛川市の奥の山村と家族の住む東京小平市の自宅に住んで、その間を車で往復して暮らしている。家族といっても今は家内と現在要介護3の母親の3人暮らしだ。仕事はどちらででも出来るが、材料は掛川の仕事場の近くで自分で調達するので掛川の方が中心だ。以前は家内と子供達四人、みな掛川で暮らしていたが、今は私一人で往復してもう十六年になる。掛川では三食自炊、竹の屑や薪で五右衛門風呂を湧かしている。小さな畑も作っているが、最近はイノシシやハクビシンにやられるので、作れないものが多くなった。

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家内は人形作り、和紙を貼り重ねた紙塑人形や張り子で子供や動物を作っている。私の方は花かごや手提げかご、灯りなどを作ってきた。二人とも家でやる仕事なので、子供を育てるのはいつも二人掛かりだったから、貧しかったが楽しくやれたと思う。作品は常設しているところもあるが、展示会中心で、一緒に個展をしたり別々にしたりして、初めの頃は掛川で、その後静岡や東京その他で、年に二,三回はやっている。

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 何で竹細工を始めたかと言えば、自然の豊かなところで暮らしたかったから。そのための生活手段として偶然竹細工に出会った。二十六,七年前、島根県の石見銀山に三年ほど住んだときのことだ。家内もその頃やはり偶然に今の仕事に出会った。家内の方は本当に仕事が性にあっていたらしく、仕事をやっていさえすれば幸せという人だ。私の方は本を読む方が好きかも知れない。掛川では一人暮らし、テレビもないので仕事を終えると本を読む時間はたっぷりある。掛川の図書館と小平の図書館を利用すれば、かなりの本が読める。家内には、それほど本を読むなら自分でも何か書かなければ人生で採算がとれないじゃないの、と言われたりするが、それにはグーの音も出ないでいる。

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仕事場からの眺め

私に普通以上の才能があれば、いろいろ苦労をしなかっただろう。大して才能もない人間が、自然の豊かなところで暮らしたいなどと夢のようなことを考え、それを実行するから、苦労するのも当たり前だ。でも今まで多くの人に助けられてきた。島根でも掛川でも。様々な人々の親切を身にしみて感じて来ている。これは私たちにとって何にも勝る財産だと思う。それに時代もよかった。子供達が巣立つまでの間、つい二,三年前までは作品もよく売れた。

 だが世の中のデフレ傾向が顕著になってくると、ある程度高価にならざるを得ない手仕事は苦しくなる。家内の人形は実用品でないからまだいい。私のものはずっと実用を目指してきているので、影響が大きい。この五年ほどいろいろ新しい試みを繰り返してきて、クラフト展に入選したりもしている。でもその程度ではとても及ばない。仕事の上での新展開が望まれるところだ。自営業だから時間の自由が利く。六月七月は例年なら仕事に追われる季節だったが、このような事情もあって、フットパスを歩く時間的余裕が出来たのだ。

 では、そろそろ出発しよう。何か忘れ物は? 思いつかない。まあいいさ、現地でも買える。かなり重くなった荷物を背負う。十五キロだ。荷を背負うと気持ちが引き締まる。朝の空気は爽やかだ。駅に向かって歩き出す。

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